歯茎口内炎

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歯茎の口内炎 は自己判断で薬を使うと…!?唇にできる口内炎と違う?

公開日
更新日

 
執筆:井上愛子(保健師、看護師)
 
医療監修:株式会社 とらうべ
 
 
文字通りの中にできるものを口内炎といいますが、歯茎にできるものもあります。
 
そんな 歯茎の口内炎 はどういう原因でできるのでしょうか?
 
口内炎はや頬の裏側に出来ることが多いのですが、舌の裏や歯茎にできることもある口内炎は、どんなものなのかみていきましょう。
 
 

歯茎にできる口内炎

口内炎は唇や頬の裏側に出来ることが多いのですが、舌の裏や歯茎にできることもあります。歯茎にできる口内炎の種類は大きく次のふたつが考えられます。
 
 

アフタ性口内炎

口の中の粘膜にできた痛みを伴う潰瘍(アフタと言います)で、一般的な口内炎を指して言われることが多い種類です。丸く、中央部分はくぼんでいて、色は白っぽく、その周囲は少し赤くなっています。直径は2~10mm程度です。
おおむね1週間~10日ほどで治り、原因ははっきりとはしていませんが、硬い食べ物を食べた時に出来た傷から細菌が入り込んで炎症を起こしたり、体調不良・睡眠不足などで免疫力が落ちた時に、口の中の細菌が増殖し、炎症を起こすと考えられています。
 
 

ウィルス性口内炎(ヘルペス性歯肉口内炎)

ウィルス性口内炎はヘルペス性の可能性が高いと考えられます。
ヘルペス性歯肉口内炎は、1型単純ヘルペスウイルスに感染することによって発症します。風邪のような症状に続いて口の中に痛みを伴った水泡が複数でき、すぐにつぶれてびらんを形成します。周囲のリンパ節の痛みや腫れも生じることもあります。ウィルスは根絶しないため体力の低下などで再発しやすい特徴を持ち、薬の治療はウィルスの増殖を抑えるものが使われます。
 
ヘルペス性歯肉口内炎は、ヘルペスウイルスに初めて感染した乳幼児に発症しやすく、急に39度前後の高熱が出たあと、口の中に痛みを伴った水泡が出来たり歯茎が腫れて出血を起こしたりすることもあります。大人に発症することはあまりないのですが、ご自身にヘルペスが出来ているときには、唾液を介して感染するためお子さんとの濃厚な接触は避けることが必要です。
口の中のヘルペスの多くは1型単純ヘルペスウイルスによるものなのですが、2型単純ヘルペスウイルス(性器ヘルペス)によるものも増えてきています。性器ヘルペスは性的接触で感染し、STD(性行為感染症)に分類されます。
 
 

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歯茎にできる口内炎:そのほかに考えられる疾患とは?

 
 

手足口病の可能性

手足口病は、に流行のピークを迎える乳幼児に多い病気ですが、近年、大人への感染も認められています。歯茎に口内炎が多発した時、手や足にも水ぶくれができていたら、手足口病を疑います。原因となるウィルスは、コクサッキーウイルA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)などで、「飛沫感染」「接触感染」「糞口感染(便の中のウイルスが口に入ること)」で感染します。
 
 

内歯瘻(ないしろう)の可能性

歯茎にできたニキビのようなできもののことをフィステル、瘻孔(ろうこう)、内歯瘻(ないしろう)といいます。内歯瘻は、歯のまわりにたまった膿が歯茎の中を通って歯茎の外に出てくる出口です。歯の周りに膿がたまる原因は、「根尖性(こんせんせい)歯周炎」「歯周病」「歯の破折」が挙げられます。
 
 

急性壊死性潰瘍性(えしせいかいようせい)歯肉炎の可能性

以前は報告者の名前をとって「ワンサン潰瘍性歯肉炎」と言われていました。
急激に発症して、歯肉が壊死、灰色の偽膜でおおわれた潰瘍が歯と歯の間の歯肉に形成され、痛みと強い口臭を特徴とすることから、現在では、「急性壊死性潰瘍性歯肉炎・歯周炎」と呼ばれています。歯肉炎にすでにかかっていた人に合併すると「急性壊死性潰瘍性歯肉炎」と、歯周炎にかかっていた人に合併すると「急性壊死性潰瘍性歯周炎」といわれます。
原因ははっきりと解明されていませんが、細菌への感染や免疫力の低下が考えられています。歯肉に出来た潰瘍が一見口内炎と似ているのですが、強い口臭が出たり出血しやすくなったりすることが異なる点です。歯と歯の間の歯肉と歯の縁の歯肉に限局して症状が現れます。
 
 

歯茎にできる口内炎の治療方法

 
 

歯茎にできるアフタ性口内炎の治療方法

ステロイドを含む軟膏や貼り薬を使って治療します。唇の裏や舌にできた場合よりも食べ物が頻繁には当たらない箇所なので、軟膏や貼り薬が安定して付きやすいと考えられます。ほかの場所にできた場合と同じく、お口の清潔を保ち、バランスの良い食事や免疫力を高めることが早く治すことと予防につながります。
 
 

歯茎にできるウィルス性口内炎の治療方法

アシクロビルなどの抗ヘルペスウイルス薬を内服、または軟膏を塗り治療します。水泡がつぶれる前の段階では良く効きますが、つぶれてびらんになってしまうと、残念ながらあまり効果を期待できません。ステロイド系の薬は、感染を拡大するため使用しません。水泡の状態で受診する場合よりも、びらんを形成してからの方が多いため、感染を拡大しないよう、症状を早く鎮めるように処方することが現状のようです。
 
 

歯茎にできる口内炎の治療方法で留意すべきこと

唇によくできる口内炎(アフタ性口内炎)と同じと思って、アフタ性口内炎で処方されたステロイド系の薬を塗ってしまうことで感染を拡大させ、症状の悪化を招くことがあります。安易に判断せず、受診しましょう。
 
 
どちらの場合であっても、以下のように、口の中を清潔に保つことが大切です。
 
・歯磨きが辛ければ、液体のものを利用して実施
 
・食後だけでなく、寝る前や起床後、帰宅した後などには殺菌を目的としたうがいを励行
 
・免疫力確保のため、睡眠や食事をしっかりとる
 
・ビタミン剤や、食事で必要な栄養素をとる
 
歯茎の口内炎を治すのに必要な栄養素は、皮膚や粘膜を防御する働きをするビタミB2、皮膚や粘膜を健やかに保つ働きをするビタミンB6です。ビタミンB2は納豆、レバー、うなぎで、ビタミンB6は、かつお、にんにく、レバー等から摂取する事が出来ます。
 
 

歯茎にできる口内炎の治療法 病院についての留意事項

口内炎が2週間以上経過しても改善しない場合や、口内炎が小さくならない場合、また慢性化したり、普段とは違う感じ(出血やしこり)である場合、口内炎が発熱、便秘、下痢を伴う場合は、病院に行くべきでしょう。
口内炎の治療は、歯科、皮膚科、口腔外科、内科等でも、行ってくれるかもしれませんが、そもそもの専門は、耳鼻咽科です。しかし、全ての耳鼻咽喉科が口内炎の治療を行うわけではないので、事前に病院に確認をすべきでしょう。
治療法は、上述したとおりですが、口内炎の痛みが激しい場合は、炭酸ガスレーザーで痛みを取り除く治療が出来る病院もありますので、こちらも受診前に事前に確認しておくべきでしょう。
 
 

歯茎にできる口内炎の治療法 本当は歯肉炎だったら?

通常の口内炎であれば1~2週間ほどで症状が改善されますが、治ってもすぐまた同じ場所にできたり、自然に治らなかったりする場合は『歯肉炎』の可能性が考えられます。
歯肉炎とは、歯周病の初期段階で、プラーク(細菌の塊である歯垢や歯石)が原因で歯茎(歯肉)が炎症を起こしている状態をいいます。おもな症状は、朝起きた時に口の中がネバネバする、歯を磨くと出血する、歯茎が赤く腫れている、といったものです。歯肉炎の初期は痛みを感じることは少なく、口内炎は痛みを伴うことが多くあります。口内炎は自然に治りますが、歯肉炎・歯周病は自然に治ることはありません。
 
 

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歯茎の口内炎を潰すと早く治る?

 
歯茎の口内炎を潰したり、手で触れたりすることはやめましょう。
患部に雑菌が入って炎症が悪化したり、口内炎の種類によっては、口腔内にウイルスが拡散して、新しい口内炎を増やしてしまったり周りの人にうつしてしまう可能性もあります。
しかし、水疱、水ぶくれの多くは自然に潰れてしまいます。もし診察を受ける場合、潰れてしまってからでは正確に診断ができませんので、潰れる前に早めに診てもらいましょう。
 

歯茎の口内炎が潰れてしまった時はどうする?

 
わざと刺激しているではないのに、歯茎の同じ場所に口内炎がなんどもできたり潰れたりを繰り返すことがあります。その場合は、できている口内炎の色をチェックしてみましょう。
 
・白い水ぶくれの場合
 歯根の先端に膿が溜まっていることによるフィステルが考えられます。
 → http://xn--v6q90dx09a5ver00a.top/#i-6 (ページ内リンク)
 
・透明な水ぶくれの場合
 粘液嚢胞の可能性が疑われます。唾液腺の管が詰まってしまうことで、口の中に唾液の溜まった袋が水ぶくれのようにできるものです。噛んでしまったり、刺激を受けることで起こり、潰れてもまた繰り返しできてきます。小唾液腺は口の中のいたるところにあるため、歯茎でも起こる場合があります。
 2mm以下ほどの小さなものは様子を見ても問題ありませんが、大きくなる場合は手術で周囲の唾液腺と一緒に取ったほうが良い場合があります。
 
 

歯茎の口内炎 予防のためにできることは

歯茎の口内炎を予防する為に、普段の生活で出来る事としては、以下のような事があります。
 
・ビタミン不足とならないように食生活に留意をする
 
・疲労やストレスが溜まらないように、リフレッシュにつとめる
 
・歯磨きの際、念入りに歯茎をブラッシングする
 
・ウイルスや刺激物を回避する
 
 

治療しても治らない口内炎は口腔がんの可能性も!

 
口腔がんはがん全体の2%ほどですが、直接生命に関わる重大な疾患です。
初期の口腔癌は強い痛みを伴わないものが多く、口内炎と区別がつかないことがあります。口内炎の原因を除去し、口内炎用の薬を使い1~2週間しても口内炎が治らない場合は、注意が必要です。
 
歯肉からの出血や、歯がぐらぐらすることがありますが、これは歯周病との鑑別が必要です。粘膜のただれや赤い斑点、こすってもなかなかとれない白い斑点などにも注意が必要です。しこりや腫れ、舌が動かしづらい、噛みづらい、飲み込みづらい、しびれなどの症状が現れることもあります。
 
口腔がんの年齢的な特徴は、70歳代が一番多く約29%、60歳代が約27%、50歳代が約18%となり、50歳以上で約80%近くを占めます。性別では3:2で男性の方に多くみられます。高齢化社会の日本では今後さらに口腔がん患者が増えると思われます。
 
参考:http://www.gunshi.jp/gan/(外部サイト)
 
 

歯茎の口内炎 まとめ

 
・口内炎は口の中ならどこにでもできる可能性がある
 
・「アフタ性口内炎」「ヘルペス性口内炎」が歯茎に出来る口内炎
 
・ヘルペス性歯肉口内炎は、ヘルペスウイルスに初めて感染した乳幼児に多い
 
・単純ヘルペスウイルス1型だけでなく、2型(性器ヘルペス)が感染して歯茎に症状が出ることがある
 
・歯茎だけでなく、手や足にも水ぶくれができていたら手足口病を疑う
 
・軟膏や貼り薬等で治療をするが、アフタ性口内炎で処方されたステロイド系の薬は、ウイルス性の場合はかえって、症状を悪化させてしまうので注意
 
・口の中を清潔に保ち、ビタミンB2、ビタミンB6などを充分摂取する事が重要
 
・時間が経過しても回復しない場合等は受診をすべき。口内炎の専門は耳鼻科。痛みをとるために、炭酸ガスレーザー治療があるが、治療可能かどうかは受診前に病院に確認が必要
 
 

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師、助産師、看護師、保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

 
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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口内炎になったときの注意事項について医師が解説した動画として以下のようなものがありますので、ご参考にしてください。
 

 

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